日経BPでの撤退報道「ソニーがクリエを7月に生産停止,ただしPDAからの撤退は否定」などにあるソニー広報の言葉には
「エンターテイメント分野の市場が立ち上がらなかった」
とあるのだが、確かにソニーのCLIE戦略は終始一貫してエンターテイメント分野の市場開拓であったと言って間違いないだろう。
音楽再生機能、カメラの搭載、さらにはTV番組をメモリースティックに録画してCLIEで見れると言うHDDレコーダのメモリースティック版
(すでに生産完了)や異色なものではメモリースティックタイプや外付けタイプのGPSモジュールを発表してCLIEをauのEzナビウォークのごとく、街歩きナビとしての利用を提案したりと話題は尽きない
(ただ、GPSに関してはIO-DATAも同様な製品を出していたような気もする)。
しかしながら、それら製品は爆発的ヒットとまでは届かず、停滞する(売れているならここ秋田の大型電器店でも普通においてあるはずだ。)。
結局動画ビューアも専用機を独自で出してしまい、PSPでも
動画が見れるようになってしまった今ではCLIEにはもはや存在意義自体が無くなってしまっている。いまやPalmOSをカスタマイズしてまで
CLIEでこの分野に食い込む必要は無いようである(それに元々PalmOSはマルティメディア向けだとは思えない)。
それではなぜCLIEだったのか?それを自分なりに考える。今思えば、ソニーがPalmに参入する1年前に
「バイオインフォキャリー」の名で
独自のデータビューアを発表していたのだが、これには正直あまり火がつかなかった。そんな中、欧米でブームを
巻き起こしていて、IBMによる日本語版製品も発売されたPalmは格好の土台に写ったはずだ。そして1年後に
ソニーはインフォキャリーにそっくりな初のCLIEを投入。その後、音楽再生機能付き、カメラ付きと過激な進化を遂げてゆく。
結局、当初からソニーは「手帳代わり」のPDAの用途にはあまり目を向けていなかったのであろうと考える。
悪く言えば、「モバイルエンターテイメント」の市場を切り開こうと考え、勢いをつける為にPalmを踏み台のごとく利用したと言う事に
なるのだろうか(言いすぎだとは思うが、アンチソニーの人からはそんな批判があがるような気がする)。
こんな風に書いてしまうと悪者のようだが、要はそんなソニーがAV機能もあるけれどもそれにもまして純粋に
「手帳の置き換え」を狙ってアピールしたモデルが私がこの間入手した
TH-55であっただけに
今回の決定が残念でならないのである。何はともあれ、PDA事業自体からは撤退しないとの事らしいので
「次」の方向性に期待しつつ、3年後(大抵、これくらいでバッテリーがヘタる)の自分の手元にある(かもしれない)PDAに思いをはせるのであった。
たまにこんな文章を書くとやはりライターさんってのはすごいんだなぁと感じる。文章力の精進はまだまだ必要なようです。